国内初、長野で木質バイオマス・ガス化発電のCO2・熱をトマト栽培に利用
エア・ウォーター(大阪市中央区)は7月1日、長野県安曇野市のトマト農園敷地内に設けた木質バイオマス発電を行う「安曇野バイオマスエネルギーセンター」で、国内初となるガス化発電方式による「トリジェネレーション事業」を開始した。
トリジェネレーション事業とは、熱源から生産される熱・電気に加え、発生するCO2も有効活用するエネルギー供給システム。同事業では未利用木材を活用した発電により地域の林業振興に貢献するとともに、発電設備から排出される熱とCO2をトマト栽培に利用することで農業コストの削減・持続可能な農業事業の促進につなげていくという。
2,000kW規模のコジェネレーションシステムが完成
安曇野バイオマスエネルギーセンター 外観・内観
同センターは、トマト栽培事業を行う農地所有適格法人のエア・ウォーター農園の安曇野菜園敷地内に設けられ、小規模発電に適したバイオマスガス化発電設備を導入したという。
2020年4月から、FIT制度を活用した1,000kW規模での発電と、発電設備からの排熱を同菜園へ供給する「コジェネレーション事業」を開始。
再生可能エネルギーである木質バイオマスを発電燃料とした電力を販売すると同時に、地域の未利用材を発電に活かすことで林業の振興に寄与、また、発電で生じる熱でトマト栽培ハウスを保温し農業コストの削減を図っている。
今回、同センターでは、新たに1,000kW規模の設備を加えた2,000kW規模でのコジェネレーションシステムが完成し、従来の発電、熱供給に加え、発電設備から排出されるCO2を多く含む排ガスを浄化し、トマトの光合成促進のために供給する国内初のガス化発電方式によるトリジェネレーション事業を開始。これにより、CO2のリサイクル利用で環境負荷の低減を図るとともに、トマト栽培ハウスの保温用に使用していたLPG燃料の削減と、光合成促進のため使用していた液化炭酸ガスの削減が可能となる。
安曇野バイオマスエネルギーセンターの概要
設置場所: 長野県安曇野市三郷温6200番地
発電形式: ガス化・エンジン方式
発電出力: 1,960kW
使用燃料: 木質バイオマス(年間使用量:25,000t)
運転開始時期:コジェネレーション(発電+熱供給)事業開始 2020年4月1日
トリジェネレーション(発電+熱+CO2供給)事業開始 2021年7月1日