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press release

2025.02.03

【バイオ液肥利用】消化液濃縮技術に関する学会発表を行いました

環境省 脱炭素化・先導的廃棄物処理システム実証事業

シン・エナジー株式会社

当社は環境省が実施する「脱炭素化・先導的廃棄物処理システム実証事業」において「メタンガス化施設における消化液処理の効率化および消化液利用促進実証事業」(本実証)を令和3 年度から令和5年度の3 カ年にかけて行いました。この度、本実証により得られた濃縮技術による液肥の利用促進効果について2024 年9 月9 日~11日に開催された第35 回廃棄物資源循環学会にて発表したことをお知らせします。

【消化液濃縮】学会発表の様子

■消化液の処理・利用における課題
・ 消化液※1 の肥料濃度が低いため利用時には大量の散布が必要となり、運搬や散布作業の負荷が大きい。
・ 消化液中の主な肥料成分であるアンモニアは揮散※2 しやすいため臭気や肥効低下の懸念がある。
・ 肥料としての有効性や安全性が認知されておらず、利用先の確保がしづらい。
・ 利用先の確保が困難な場合、河川等への放流を可能とする高度な水処理技術を要する。
これらの課題に対し、当社では消化液の濃縮による肥料成分の上昇、減容化を可能とする濃縮技術を開発しました。技術による課題解決で液肥の利用推進とバイオガスプラントの導入促進を目指します。


■当社の消化液濃縮技術の特徴
・ 消化液中に硫酸を添加し、アンモニアを硫酸アンモニウムに固定化することで散布時の臭気および肥効低下を防止。
・ 独自の前処理技術により、硫酸添加時の発泡抑制に要する消泡剤の少量化を可能とし、薬品コストの低減による濃縮技術の実用化を実現。
・ 発電所内の余剰排熱を熱源として活用することで、エネルギー利用効率を向上。
・ 消化液容量を約1/3~1/2 程度に減容化し、散布量の減少による運搬・散布作業の効率化を実現。
・ 凝縮水※3 は高い透明度を持ち、用水として再利用できるほか、簡易的な水処理で放流が可能。

■実証事業の成果
本実証では前述した消化液処理の課題に着目し、濃縮技術による消化液処理・利用に掛かるコストおよびCO₂排出量の削減効果と液肥利用の促進効果について調査を行いました。

  1. 高度な排水処理と比較し、処理に掛かるランニングコストおよびCO₂排出量の削減効果を確認しました。
  2. 圃場での栽培試験を実施し、消化液および濃縮液の安全性と化成肥料と同等の有効性を確認しました。
  3. 液肥散布に掛かる作業効率化の検証を行い、濃縮時には作業時間が約40%、燃料消費量が約24%削減されることを確認しました。
【消化液濃縮】濃縮液散布

散布機

【消化液濃縮】散布後

濃縮消化液を散布した稲田

■今後の展望
本技術により消化液処理の効率化と消化液の液肥利用を促進することで、地域での資源循環の実現を目指します。
また、本技術は既設・新設を問わずプラントへの導入が可能であり、バイオガスプラントの普及拡大への寄与が期待されます。さらには、農業分野においても化成肥料の使用量を低減し、持続的な農業の推進と脱炭素の実現に貢献することができます。(本技術を全国ではじめて導入した国内最大級のバイオガスプラントに関するお知らせ:https://symenergy.co.jp/news/release/20241015-9279.html?id=newsCategory
当社は、地域固有の自然資源を活用した「一次産業としてのエネルギー」を基軸に、地域が今ある魅力を生かしより豊かになる事業に取り組んでいます。この消化液濃縮技術により、これまでバイオガス発電所の導入が困難だった地域を含め、全国でのバイオガス発電所の普及を目指していきます。

※1:有機物からメタンを回収した後に残る液体
※2:物質が気化することで、例えば焼却灰、飛灰などを高温に加熱すると、低沸点の金属などが気化する場合が該当する(出典:環境 施設用語集)
※3:濃縮時に蒸発、回収した水分

■シン・エナジー株式会社 https://www.symenergy.co.jp/
【本社】 兵庫県神戸市中央区御幸通8-1-6 神戸国際会館14 階
【代表者】 代表取締役社⾧ 乾 正博
【事業内容】 エネルギーを基軸とした地域のプロデュース&エンジニアリング
再生可能エネルギー開発事業、新電力事業


【本件に関するお問い合わせ先】
シン・エナジー株式会社 経営企画部 ブランドコミュニケーション課
TEL:078-600-2668(直通) E-Mail:contact@symenergy.co.jp

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